1.コール市場と日銀の金融調節
資金不足の金融機関はコール市場で資金を調達してくることになる。しかし,資金を供給してくれる金融機関が少なければ,
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となり,コール金利は上昇していくことになる。こうした金利変動は日々の円滑な金融取引に支障をきたす可能性がある。そこで日本銀行(日銀)は市場に資金を供給して金融機関の資金不足に対応する。結果としてコール金利は低下し,目標水準まで誘導される。こうした日銀による日々の短期金融市場のメンテナンスは金融調節と呼ばれる。
この金融調節の方法だが,日銀が毎回資金不足の金融機関にほら,コール市場で調達できなかった資金貸してあげるから,これを使いなさい
と直接渡しているわけではない。もちろんこういった直接的な方法がとられることもある(むしろ,こうした金融調節がメインの時代もあった[1])。しかし現在,このやり方はあまりスマートではないということで,間接的な資金供給による操作が主流となっている。具体的には公開市場操作(売りオペ・買いオペ)と呼ばれる政策手段である。
- ^公定歩合操作と呼ばれ,1994年までは民間銀行金利をこれと連動させるような規制が存在した。金利自由化後,金利操作の手段は公開市場操作へと移っていくことになる。