空売りとは | 短期金融市場入門

空売りとは

株価が下がるほど儲かる「空売り」

空売りとは…

  • 手元にない証券を売却する取引
  • 証券価格が下落するほど利益が出る
  • 証券価格が上昇するほど損失が出る

1.空売り:持っていない証券を売る

空売りとは手元にない証券を借りてきて売る取引を指す。以下では買現先やレポ取引との関連を中心に説明する。

■ 1万株を証券会社から借りる
■ 売却して1,000万円を得る

たとえば,A社はどうも業績が悪く,株価はまだ下がると考えたとしよう。そういうときは証券会社からA社の株をレンタルしてくればよい(=買現先レポ取引)。さっそく現金を担保に差し入れて,レポ取引でA社株を1万株調達。これをすぐに売却する。A社の株価が1,000円だとしたら,全部売却すれば1,000万円の現金に換えることができる。

  • 株価1,000円 × 1万株 = 1,000万円
■ 900万円で株を買い戻す
■ 1万株を証券会社に返却
1,000万円で売ったものを900万円で買い戻しているので,手元には100万円が残る。

1ヵ月後,予想通りA社はビジネスに失敗し,株価は900円に下落した。この下落したタイミングでA社の株を買い戻すのだ。必要資金は900万円だ。

  • 株価900円 × 1万株 = 900万円

無事に1万株買い集めたところで,証券会社にA社株を返却する。A社株を1万株借りて,1か月後にちゃんと1万株返している。しかし金額でみれば1,000万円分借りておきながら,返済したのは900万円だ。手元には100万円の利益が残る。なぜこうなるかといえば,A社株が下落したからだ(当たり前だが,A社株が上昇したら余計にお金を支払うことになる)。

レポ取引では国債が用いられることが多いが,たとえば今後は金利が上昇して国債価格が下落しそうだと証券会社が判断したら,その証券会社はレポ取引で国債を調達し,価格が下がったころに買い戻して返却しようと考える。証券を借りる一番の目的は,その証券の価格が下落すると思われる時に空売り(=証券をレンタルしてきて売る)するためである。